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2012-05-20 11:42:00

 

「3つのオレンジへの恋」が生まれる前、それまでの内装、外装を完全に作り変えた

突貫工事によって、店の構えがだんだんと出来上がってゆきました。

前を通りかかる学生たちからよく聞かれました。

「何の店ですか?」

「いつオープンですか?」

それはまるで、ひとの誕生のようです。

「男の子、女の子どちら?」

「ご予定日は?」

 

 2002年4月8日、現在の地で「3つのオレンジへの恋」は生まれました。

ひとの記憶の始まりが薄い暗がりの向こうにあるように、「3つのオレンジへの恋」が誕生した

とき、目の前は大学の第一学生会館を取り壊した跡の更地で、汚れの目立つ万年塀は

寒々と暗く、威圧感を与えていました。

 

その塀は、まるで記憶の始まりと同じように、店の前面の春の明るい陽光を

闇のなかに易々と吸い込んでしまうよう。

やがて、長い受胎期間と工事を経て、その敷地には早稲田大学建学の母といわれる

小野梓を顕彰する記念講堂と法学部ロースクールを収容するタイル貼りの校舎が完成。

 

立ちはだかっていた塀が取り払われると、目の前には覚悟していた建物の壁面はなく、

開放通路が開けていて、そこから爽やかな風が吹いてきました。

そしてその先には正門前広場が開け、小野梓の胸像が大学の象徴である大隈講堂を

慈しむかのように眺望できるよう設計されていたのです。

 

数ある早稲田大学の建物施設のなかで、これほど意味のある景観としては、ほかに

大隈講堂を見つめる大隈老候の銅像があるだけではないでしょうか。

 

「この店にはいい風が吹いている。私には分る」。

まだ、殺風景な万年塀が店の目の前を覆っていたころ、そう「予言」した女性がいました。

そのとき、私にはその風は見えませんでした。

しかし、予言どおりに良い風が吹いて、覆われていたベールを取り払い去った。

いま、タイル貼りのその壁は美しい緑のベールに覆われています。

小野梓の視線と同じ方向、通路を通して見える緑は大隈講堂前の常盤の松だ。

 

小野梓記念館のあるこの27号棟が竣工したのは2005年の2月。

「3つのオレンジへの恋」が間もなく3歳になろうかという時期でした。

いよいよ「3つのオレンジへの恋」の「記憶」が始まったのです。