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「ごめんね・・・」
こう言いながら、うら若い女性が木の根下に倒れ込む・・・・。
残されたものの悲しみを平井 堅さんが滔々と歌いあげた「瞳をとじて」。ビデオの映像シーンとともに何度耳にし目にしても熱いものがこみあげてきます。
「3つのオレンジへの恋」の「舞台」で一人の女性が涙を流しました。
この味・・・あのときと同じ・・・変わっていない。
早稲田を卒業後、久しぶりに東京にやってきて、海よりも懐かしい思い出の「オム」を食べたのです。
ある年の受験シーズン、不安でいっぱいになり眼に涙をためながら、ひとりの女子高生が「3つのオレンジへの恋」のドアを開けました。
はやいもので、その彼女もことしの春は他大学の4年生となるのです。先日、「まえたか」の彼といっしょにやってきて幸せそうな顔を見せてくれました。
きのうの土曜日は、早稲田実業初等部2年生の母子一組と1年生の母子三組とがにぎやかに来店。課外授業で、大隈庭園のなかで、磁石にくっつく石を採取してきた帰りのようです。
こどもたちはみな活発で、オムライスやブリュレを満喫したあと、それぞれ思いを口にします。
「なんで辞めちゃうの」
「もうじき70歳になるからね」
「自分は社長をやって、従業員を募集すればいいのに」
「ぼく、店長やるよ」
「私も働く!」
「ぼくタマゴ焼く!」
「むずかいしんだよ。気持ちだけもらっておくね」
「はい、ピース!」
帰り際に1年生の女の子が無邪気に私の写真をアップで撮っていった・・・ありがとうというべきなのか。
きみたちが早稲田大学に入学するときには「3つのオレンジへの恋」はもうないんだね。
いつかこの日のことを思いだしてくれるかな。
笑顔と、ときにはいくとおりかの涙。
幾多の名場面がうまれた「3つのオレンジへの恋」の舞台でした。
4月が終われば、新しい物語が始まることはもうないのです。
カーテンコールはありません。