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2018-02-05 18:50:00

1月下旬、関東圏は予報通り、吹雪も交えた大雪に見舞われました。

私の幼ないころ、雪が下から吹きつける東北の冬の厳しさを、能代(秋田県)出身の母がよく話していたものです。しんしんと、上から降ってくる東京の雪しか知らない私にはなかなか想像できせんでした。

 

私が大学生になって、長野出身の同級生のところにスキーに行くというと、わざわざ寒い思いをして雪のなかに行かなくてもとも言われました。もう雪には懲り懲りだったのでしょう。

 

ハタハタは真冬の荒れ狂う日本海能代の海で命がけで漁をするのだということも聞きました。雷も鳴るなか、産卵のためにハタハタが岸辺に押し寄せてくるのだそうです。雷といえば夏の入道雲だと思っていたので、冬の雷にも驚かされました。

漢字で魚へんに雷、もしくは神と書くハタハタ・・・いずれにしてもすごい組み合わせです。

 

母は父と結婚して、東京で暮らしていましたが、季節になるとよくハタハタを買ってきました。焼き魚・煮魚・ナベ・干物・・・一見くせがないようなのに、独特の味が滲みわたってくるハタハタは私も子供の頃から好きでした。ほかの魚にくらべると身の部分は小さいが、骨からすぐきれいにとれるのはお子様向きでした。

 

毎年暮に、故郷の母のお姉さんから「ハタハタすし」が届くと、両親は懐かしい味を楽しんでいました。「ハタハタすし」は、すしといっても、こどもに媚びない「大人の味」でした。私は干物や生の方が好きでしたが、しめ鯖はすきだったので、やがてハタハタのすしにも馴染んでゆきました。しかし、父や母が文字通りブリブリとおいしそうに食べているブリコ(卵)は個性が強すぎて苦手でした。

 

私は、今でもスーパーの店頭で両親の思い出につながるハタハタを見かけると、つい買ってしまいます。

会社時代の気の短い上司は、ハタハタは頭ばかりデカくて身がないから食った気がしないので嫌いだと言っていた。真冬の漁の厳しさを思うと残念でした。

 

われわれが青年のころに流行った「おそ松くん」は、いまは「おそ松さん」になって女子の間で人気のようです。

同じ日本海産でも、松葉ガニ・ズワイガニや、光るホタルイカは派手なスターですが、秋田の県民性のようにハタハタはとても控え目で地味です。呼び捨てにするのも申し訳なく、ハタハタさんいやハタハタ様と呼んで、ありがたくいただかなければと思うのです。

 

「3つのオレンジへの恋」の「石焼オム」も冬季限定の芸術品です。

いつの日か、「幻のオム」、「オムさま」と呼ばれる日がくるかもしれません。