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2016-10-04 18:25:00

ラジオを聴いていると意外に教えられることが多い。たいていは聴きながら(族)で、テレビと違って文字テロップもないので、まさに一瞬の伝達・伝播の妙である。

 

最近の放送で、一部だけ聴きとれたところによると、自転車のレーサーかライダーが都内の三大急坂の名をあげていた。ほかの二つの急坂はどんな名前だったのか・・・知った名のようでもあったし聞けなかった気もする・・・文京区にある「幽霊坂」の名前もあがったが、このとき語られた「鷺坂」が私にとってハイライトだった。

 

短い急な坂を上るとすぐに崖に突き当り、そこには坂の名を刻んだ石碑があるそうで、急角度で折れ曲がった坂のその先には短いもう一つの急坂があって、ハンドル操作の難しさも加わり、ライダーの技術と強い脚力をもってしても一気に登りきるのが難しいのだと。傾斜度も示して、短いが急勾配のその坂が如何に難攻であるかを語った。

 

江戸川橋にあるというこの坂の特徴を聞いて、もしやと思った。

 

私はその坂の手前の道を通ることがあって、正面が崖で行きどまりに見える急角度の短い坂が気にはなっていた。その坂を当たり前のように人が行き来し、自転車やバイクが下ってくるのも目にしたが、ついぞ足を踏み入れたことはなかった。ラジオを聴いた日、あの坂だろうかと気になって初めて登ってみた。

 

おかしなもので、のぼりながらその坂であってほしいという思いが強くなって、突当りには「鷺坂」の石碑があるだろうか、ハラハラする時間を少しでも長く楽しめるように、短い坂の距離が伸びてほしいとさえ思った。

 

ついに登り切ると、果たしてそこには「鷺坂」 と書かれた石碑が立っていた。ライダーが語った言葉は憶えていないが、矢じりのように鋭く折れ曲がった短い急坂がふたつ、たしかにその先に続いていた。

 

石碑の後ろに立つ案内板によれば、このあたりは結構文学者に縁のある地域だった。その中に佐藤春男らと並んで、私が若い日に過ごした世田谷の近くに住んでいた孤高の詩人・三好達治の名も見られたので少しうれしくなった。

 

下で接する道路から急角度で立ち上がるただのスロープのように見えた、クセが強い小ぶりのこの坂が急に好きになった。

 

(付記)

この記事をアップしたとき、「鷺坂」のことを「霊坂」と書いてしまいました(今は訂正済み)。どちらも字画数が多い一字ですが、「幽霊坂」の霊が悪戯したのかもしれません。

 

みなさんの「3つのオレンジへの恋」には可愛らしい妖精が住んでいます。きっと・・・。