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2016-10-19 16:23:00

(お知らせ)

作家小川未明も学んだ早稲田。

坪内逍遥やラフカディオ・ハーンの謦咳に接したというのですから歴史や時代を感じます。

明日10月23日(日)のホームカミングデー「稲門祭」は 営業 いたしておりますので是非ご利用ください。

なお翌24日(月)はお休みです。

 

(本文)

ベートーヴェンが交響曲の世界に金字塔を打ち立てた後のブラームスの苦悩。

音楽の世界はもとより俳句、短歌、詩歌、文学・小説、絵画、映画に至るまで、至高の芸術が出現した後には、これを凌駕する新たな表現や技法はとても考えられなくなります。

 

この秋の「早稲田文化芸術週間」の企画のひとつ、「小川未明文学賞25周年記念フォ-ラム」が開催されました。

会場の小野講堂は補助席まで出さなければならないほどの盛況。小川未明のお孫さん(英晴氏)をはじめ、文学賞大賞受賞者や選考委員・学者らゆかりの方々によるパネルディスカッションで、貴重なエピソードやご見解、「小川未明童話」の現状などを拝聴することができました。

 

たしか母親姉妹が小川未明家とつながっていると言っていたねじめ正一さんが、トークで会場を何度もくすりと笑わせた後、第三部ではフラメンコで「赤い蝋燭と人魚」を演ずるという。「物語」の世界をフラメンコで一体どのように上演するのだろうと思っていました。

 

結論を申し上げると、「赤い蝋燭と人魚」を、これ以外どのように感動的に表現すればよいのだろう、絶対にできないのではないかという思いを強く抱いたことでした。

 

生で演奏されていた音楽は冒頭から深い悲しみを湛え、この物語の悲劇性を告げていました。効果的にはさまれていた小川英晴さんの気迫に満ちたナレーションと女性奏者によるボーカルと無言の舞踏と・・・涙は何度ながれてもおかしくはありませんでした。

 

以前、私はアントニオ・ガデスとスペイン国立バレエ団来日公演のテレビ放送を見て、フラメンコ芸術の一端を知りましたが、鍵田真由美・佐藤裕希フラメンコ舞踏団によるこの日の公演は、魂が震えるほど素晴らしいものでした。

人魚姫の母を、深い精神性と高度な技術をもって演じた鍵田さんと、悲劇の娘役工藤朋子さんの演技に飲みこまれた会場はしわぶき一つするものありません。短い喜びと悲しみや恐怖・怒りを演じた、この美しい「二人の人魚」にすっかり魅入られてしまったのでした。バレエ団の舞踏を終始雄弁に支えた音楽の見事さも。

 

不覚にも存じ上げなかったのですが、鍵田真由美さんはニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれ、すでに国内外で高い評価を得ておられます。遅ればせながらこの日、鍵田さんと工藤さん、そして佐藤裕希フラメンコ舞踏団の芸術に触れることができて幸いでした。今回の上演は抜粋版とのことですが、機会があれば是非「全編」を体験してみたいと思っています。

 

小川未明展の主催者側の方ともお話をすることができましたが、昨今はこの作家のことを知らない人が多いと聞きました。日本の童謡・唱歌もそうですが・・その作品は決して子供のレベルに合わせたものではないので一見馴染みにくいかもしれませんが実に残念なことで、全国の教育現場でもっともっと取り上げてもらわなければ。時代は違いますが、私も小学校の時に担任の先生から小川未明や坪田譲治の世界を紹介されたものでした・・・・。