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2016-06-25 11:37:00

雨上がりの午後のひととき、ふだんは登ることはできない大隈記念講堂時計台の鐘楼、塔屋(屋上)に初めて登りました。

「予想外が待っている!」(今回芸術週間のキャッチコピー)

高さ38メートル━━青空の下、体験したことのない位置から見渡す大学キャンパスの景色は目に優しく、山の頂のように爽やかな風が吹きわたっていて、何とも言えない幸せな気分になりました。つい先ほどまで雨が降っていたことを思えば本当にラッキーでした。

 

早稲田大学文化推進部主催の早稲田芸術週間「ミュージアム ウイーク」の企画のひとつ、「薮野健(先生)と巡るキャンパスもミュージアムツアー」でのひとときのことです。

 

この日、観客のいない大隈講堂のステージにも初めて立ってみました。

居眠りしているとすぐわかるくらいに座席全体がよく見えて、二階席も手がとどくかと思われるほど近くに感じました。全体から細部にいたるまで大隈講堂のすべてが「早稲田建築」の粋なのです。

 

この日は先生のご案内で、大学の歴史的建物や文化財、校内各所に展示されている薮野先生の大作絵画を拝見、先生が描いた西洋の建物の重量感や質感に圧倒されました。先生は独学で絵画技術を習得されたそうで、小中高と美術部に所属したものの独学では極められないと思ってあきらめた私は唸ってしまいました。

 

「絵画の表層だけを見ないで内面を見なさい。自分の感じたところを表そうと思えば技術は後からついてくるものです」という趣旨を述べておられましたが、薮野芸術の神髄なのだと思いました。

 

昨年だったと思いますが、やはり早稲田芸術週間の企画で、薮野先生による「早稲田大学の未来を描く」(タイトルは私の記憶)というイベントがありました。

 

小野記念講堂のステージ上、コンペで選ばれた7~8人の学生がそれぞれアイデア発表するのを聴きながら、先生はその内容を即座に大型の用紙に漫画風イラストで描き上げてゆきます。大隈講堂などお馴染の大学の建物あり学生本人の似顔絵ありで、ときには先生自身の言葉も織り込みつつ完成してゆく様は、まるでマジック・名人芸を見るように楽しいものでした。

 

大学構内で校舎を描いていた先生を偶然お見かけしたこともありました。

以前、「3つのオレンジへの恋」に来ていただいたことがあったので、私が話しかけると、先生の代名詞である空の青が燃えるような水彩画を仕上げながら、気さくに応えてくれました。芸術家だからなかなか気難しい方ではないかと思っていたのですが、偉ぶることもなく大変心優しい方で、どんなきっかけだったか、作曲家や指揮者について暫し楽しく音楽談義をすることもできました。

 

今回のツアーでは予定の一時間を大幅に超過しましたが、薮野先生が描いた、珍しいイタリア製のオートバイやレトロなアメリカ製高級車、有名な慶応大学図書館の水彩画なども見せて頂き、あらためて多彩なご才能を知り、作品を堪能し、お人柄に敬意を表する一日となりました。

 

この日は、学生時代には味わうことのできなかった貴重な体験、勉強ができました。薮野先生、そして文化推進部の皆様、素晴らしい企画を本当にありがとうございました。